社会心理学 ー自己と自尊心の仕組みを掘り下げるー

社会/対人関係

今回は、社会心理学自分とは何か?
誰しもが一度は疑問に想うテーマかもしれません。

自己の日頃の生活で漠然としてる「自己」への理解に焦点を当てたいと思います。

自分を客観的に評価したい。

なぜ、他人との比較を常に意識するのか?


今回はその自己について、学習記録を兼ねてまとめていきたいと思います。

自己とは? ー自己の定義と成り立ちー

自己には2種類あると言われ、それは「自己概念」と「自尊感情」になります。

● 自己概念

自分はこういう人間(所属、性格、嗜好など) という認識。

20答法や自己開示によって、自己を再認識することができる
(自分はー。という項目を20個作る作業法)

● 自尊感情

自分を尊重したいという感情(下記詳細)

こう定義されると、少しはっきりしてくる感じですね。

まず「自己概念」の自覚があって、その自己を尊重したい「自尊感情」がある。
そうやって自己は成り立ってるということなのでしょう。

では、なぜ我々はこれほどに自尊感情を重視するのでしょうか。
心理学では以下の2つの理論が言われています。

自尊心が必要な理由

● 存在脅威管理理論

人は脳の進化にともなって、自分の老化や死について自覚できるようになった。

いつか衰える自己」に対抗するために、普遍的な自分の価値を証明したい感情(=自尊感情)が生まれたという説。

● ソシオメーター理論

自分が属している集団内での存在意義を確認するために、自尊感情が必要という理論。

人は生存するために、集団内での助け合いが必須だったが、そのためには自分が承認されている必要がある。
助け合いを受けるためには、集団で認められていることが必要で、それを敏感に感じ取るためにかんじょうが必要。

このように、長い進化の歴史で培われた自尊心は人にとって切っても切り離せない存在のようです。

自尊心を保つのに役立つ心理テクニック

ではこの自尊感情と、我々はどのように付き合っていけば良いでしょうか。
その疑問に対して、まず人間の自尊心の維持システムについて考えてみたいと思います。

人間の自尊心維持のシステム

実は、人には自尊心を保つための「システム」が備わっていると言われています。

具体的には、SEM:自己評価維持モデル(Baumeister)や、Wilson & Ross などによって提唱されています。

自尊心維持のシステムとは?

● 比較過程

まず「他人」もしくは「過去の自分」と、課題の遂行レベル(仕事や学業、趣味、対人能力など)を比較する。

その結果によって、自尊心が上下する(劣っていれば劣等感を感じる、など)

● 反映過程

比較過程を受けて、自尊心を調整するように働く過程。

他人との心理的距離」「課題の遂行レベル」「課題への重要度の認識度合い」を調整しながら、自尊心をコントロールしていく

では実際には、どのようにこのモデルは機能するのでしょうか?
例えばこんなケースです。

自尊心維持システムの応用:会社の同僚との関係の例

● 比較過程

会社において、同僚と比べて自分の仕事のスキルが劣っていると実感。

● 反映過程

まず、自尊心を保つために相手と距離を取る(心理的距離を離す
もしくは、スキルを上げようと勉強する(遂行レベルを上げる)。

そのどちらも難しい場合(いつも接するから距離を取れない、スキルもすぐには上がらない) 、
「そもそも今の仕事は自分にとってそこまで重要じゃないのでは?」と見つめ直してみる
課題の重要度を下げる

つまり、他人との比較で自尊心が脅威に曝された場合には、心理的距離・遂行レベル・課題の重要度の点で自尊心を調整できるようです。

とはいえ、こういった調整をやっていくには、多方面での能力開発が必要になってくると感じます。
そこで以下では、「内在化」という心理現象も紹介したいと思います。

人間の潜在能力の一つである「内在化」とは?

一般的に我々は、内面が外面に出ると考えます。
例えば、慎重な性格だと自覚すればそのように行動し、他者評価も「慎重な人」となっていきやすい。

しかしその逆に、外面 → 内面の順序で人格が作られる事もあり、これは内在化と言われています。
例えばこんなケースです。

内在化の例
  • もともと内向的な性格だと思っていたが、接客系の仕事をし始めてから次第に外向性が身につく。
  • リーダシップは自分にあまりないと思っていたが、後輩が入ってきて教育係を始めてから、統率力が付いてきた

内在化は公的な条件(大勢を前に、匿名でない条件)で起きやすいと言われます。
逆に、私的な条件(プライバシーが守られている条件)では発生しにくいと言われます。

ごまかしの効かない公的な条件下では、「自分に裏表がないよう振る舞いたい」と思う心理が働き、自己形成への強い圧力になっていきます。

そしてさらに飛躍すると、
「何かになったつもり」で行動をすると、それが内面にも現れてくるという点です。

よくプロ意識を持って仕事をする姿勢は賞賛されますが、これは内在化と似たニュアンスと言えます。
例えば「会社組織の調整役として」「アートの表現者として」「チームを引っ張るリーダーとして」という具合に役割を個人が自覚し、そのように振る舞うことで、それらしくなっていく。ー これは一般的に見られやすい現象だと思います。

内在化のポイント

内在化の仕組み

公的な条件(人前で匿名性がない)で行った振る舞いが、次第に自分の人格として自覚される

内在化の応用

自分が「何かの存在になったつもり」で行動すると、新たな一面を開拓できる可能性がある
→ これは人間の潜在能力の一つと言える

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