【学習心理学】「観て覚える」は古い? 技能向上の適切なフィードバックとは?

スキル/キャリア

今回は学習心理関連の記事です。

能力開発において、自主性が重要と言われます。
自主性があることで、達成感や有能感を得ることができるからです。
さらに、潜在能力アップやモチベーションにつながっていきます。

しかし、何でも相手の自主性に任せるというのも、適切ではないようです。
何となく、「自力で能力開発を行うことが、立派な社会人」という共通認識が我々にはあるかもしれません。

自分のパフォーマンスを客観的に観察するには難しさがあり、それが自力でのスキル向上には限界がある理由と言えます。

心理学的「フィードバック」の方法とは?

実際、学習心理学の運動技能の研究では、「自分の行動」に対して、相手から結果や改善点を伝えられることで、技能が向上することが説明されています。
ただフィードバックにも色々と種類があり、以下で整理しておきます。

フィードバックの種類

外的フィードバック … 周りの観察者から言ってもらえる事実・意見

質的フィードバック … 「正解」「誤り」のみが与えられるもの
量的フィードバック … 具体的な改善点(何をどうしたら良いか)が与えられるもの

内的フィードバック … 自分自身でしか分からない「感覚」や「心理状態」などから得られる改善点

ある、知覚運動の技能検査の実験が行われた際、技能の向上の度合いは、

「フィードバックなし」 < 「質的フィードバックあり」の方が高い

そして、

「質的フィードバックあり」 < 「量的フィードバックあり」が最も高い
ことが分かっています。

なんだか当たり前のような話かもしれませんが、
よくスパルタ指導では、「正解を教えない」や、「具体的に指摘をしない」というのが起きがちです。

しかし技能向上のためには、
「正解」と「具体的な改善点」を伝えるのが、適切なフィードバックとなるのです。

他者フィードバックは、自分に豊かな「視点」を養ってくれる

最近、心理学では「メタ認知」という言葉が注目されています。

これは、自分の状態を客観的に観察・分析して行動を改善していくことです。
仕事のパフォーマンス向上やマインドフルネス、メンタルヘルスなど様々な分野で応用されています。

しかしながら、客観視にも限界がある
人は「何かに注目する」という特性があるため、視野が狭くなってしまうのは、誰にでもあることです。
だからこそ、他者視点を取り入れて視点を増やしていく必要はあるのでしょう。

自分は新人の頃、仕事のやり方について先輩から
色々な上位者のアドバイスや意見を聞いて、自分の中でまとめていくと良いよ」
と言われことがあります。

この意味は当時は何となく理解した程度でしたが、今は技能向上における極めて有効な手段の一つだと思っています。
上司のアドバイスが必ず完璧という保障はなく、本人も自分の視野で考えている可能性があるからです。
様々なフィードバックを聞いて、自分の中で整理していくことで、客観的で豊富な視点に基づいたノウハウができると思うのです。

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