ネガティブな感情に囚われてしまうことは、よくあると思います。
不安や焦り、孤独や退屈感などなど。
今回は、心理学における認知行動療法の中で、実生活にも活かせそうな「行動活性化法」ついて紹介しながら、書いていきたいと思います。
認知行動療法は、メンタル疾患の回復期に行われる心理療法の一つですが、実生活にも応用できるてにニックもあります。
今回の内容は以下の方向けになっていると思います。
- 悪い習慣を改善したい
- 仕事や人間関係で、ネガティブ感情に振り回されたくない
- 心理学を日常にも取り入れて改善したい
ネガティブを遠ざけ、ポジティブを増やす
基本的な考え方は、ネガティブな状況・行動を遠ざけ、ポジティブな行動を取り入れていくという点になります。
ネガティブになってしまう「きっかけ」は、人それぞれだと思います。
そういう感情に悪影響をもたらす「状況・行動」を特定し、回避していくことから始めていきます。
実例:「退屈感」への対処
例えば休日に、仕事の疲れを取るために寝て過ごしてしまい、退屈感を強く感じてしまうケースがあるとします。
そのような場合、以下のような対処法になっていきます。
- 頭の疲れをできるだけ金曜日に取り除くために、帰宅前にジムで汗を流す
- 休日に楽しみを感じられる活動を1つ行うようにする
- 自分なりの「充実」を定義して、休日の計画を立てる
ここでは、悪影響をもたらす状況は「頭の疲れ」で、「休日に寝て過ごしてしまう」という行動が促され、結果「退屈感」という感情になっていきます。
自分の感情と向き合うことで、ネガティブになるパターンが見えてきます。
不快になるパターンを捉えて、次からはできる限り回避することによって、安定化することができます。
考え方のベースは心理学の「行動活性化法」
心理学には行動活性化法という、心理療法のテクニックがあります。
まず人間の感情は、「状況」→「行動」→「感情」の順序で作られると説明されています。
今感じている感情は、きっかけとなる「状況」と「行動」が影響しているという訳です。
すなわち、
感情を改善するには、「行動」をコントロールすることで可能になるという理屈になります。
ネガティブな出来事を回避するというのは、この行動活性化法がベースの考え方になっています。
ポジティブな行動パターンへ変える例
上記で説明した、行動活性化法を踏まえて別の事例も見ていきたいと思います。
次は、あまり気の乗らないイベントへ誘われた時の対応です。
—————————————-
<以前のパターン>
状況 → ネガティブ行動 → 不快な感情
例)
あまり行きたくないイベントの誘い → 仕方なく行く → 気疲れしてしまう
<改善したパターン>
状況 → ポジティブな行動 → 快い感情
例)
あまり行きたくないイベントの誘い → 魅力的な予定(新しい場所に一人で出かけるなど)を作り、誘いを断る → 充実感を得られる
※ 必要に応じて、行きたい場所をあらかじめ下調べして、行動に移しやすくするなどの対策も検討
—————————————-
「行動の管理」が面倒だと思う場合は..?
とはいえ、いつも自分の行動を管理し続けるのもエネルギーが要ります。
「毎回対応するのが面倒」というのも気持ちになりやすいかもしれません。
そこで、以下の考え方を紹介します。
慣れさえすれば、習慣になる
これは、ネガティブ回避を一種の「スキル」として考えていくものです。
はじめのうちは地道さが必要ですが、経験を積んでいくことで、回避スキルも上達していきます。
楽器の練習や、作業の上達のように、「行動管理」も慣れていけば上達が可能なのです。
ネガティブを回避する習慣が身につけば、将来的に便利
「逃げるが勝ち」という言葉があります。
特に最近では、「大変な環境でも頑張り続けるべき」という価値観は否定されつつあります。
自分を守るためにも、「回避」という選択肢は非常に有効なのです。
時には、職場の変更や転職といったエネルギーの要る決断が必要なケースもあると思います。
そういう時に備えて、まずは小さな事から逃げる習慣をつけていけば良いと考えることもできます。
逃げる習慣が、肝心な時に効果を発揮するからです。
セルフコントロールの実感が自信につながる
小さなことでも、セルフコントロールの経験を積んでいく事ができます。
そして、その都度「自分にとって有利な選択ができた」という実感を得られるはずです。
その経験は自分に自信をもたらしてくれます。
心理学においても、セルフコントロール感の向上が自尊心の向上になることが説明されています。
「自分の人生をコントロールできている」という感覚は、人間には必要だからです。
少し脱線しますが、気分変調性障害という臨床のノウハウを紹介したいと思います。
この病気には、自分を過度に責めすぎてしまう症状があるのですが、治療のためには「自分が心地よい選択」ができるよう促すらしいです。
自分が窮屈な選択をすれば、より悪循環にはまり罪悪感も強く感じてしまいます。
そこで自分にプラスの行動ができた実感が、自尊心の向上と病気の治療にも良いらしく、これは健常者にも当然当てはまると思います。
ちょっとした工夫で好循環を生み出せる
心理学では、以下のように言われています。
- ポジティブな行動を増やすことは「正の強化」
- ネガティブな行動を減らすことは「負の弱化」
「正の強化」と「負の弱化」を併せ持つことで、効果が発揮されていきます。
なぜなら人間には、自分へのメリットが増えると、それがより強まるように行動していく性質があるからです。
まずは小さな事から始めることで、徐々に大きな改善につなげられると考えられるのです。
心理学の認知行動療法でも、
基本的な治療方法は「今できていることを、続けて、広げていくこと」らしいです。
誰でも一歩踏み出すことで、より自発的に動けるようになり、好循環が回りだすようになります。
より良い習慣を手にするためにも、この行動活性化法はヒントになりそうです。
コメント