クリティカルシンキングは、様々な場面で有効に使える思考術といわれています。例えば、目標や課題の設定、問題の解決、他人の説得や交渉など。
その中で今回は、目標設定におけるクリティカルシンキングの活かし方を取り上げてみます。
よく目標設定で言われるのが「具体的に考えよう」というフレーズ。
具体性がないと到達の有無が確認できないためですが、クリティカルシンキングを使うことで、目標の具体性を高めることが可能になります。
今回ポイントとなるのは、不要なものをそぎ落として本質を見極めるという点です。
その要素を含みながら、目標設定の方法についてみき行きたいと思います。
目的を明確にする
まずはビジョンから
いきなり具体的な目標を立てるのは難しいと思います。
TEDスピーチで有名なサイモン・シネック氏の「ゴールデンサークル理論」によれば、人間はまず「WHY:目的」から入り、次に「HOW:どのように実現」、そして「WHAT:具体的な行動」の順番で思考をするように進化しているらしいです。*1)
まずは抽象的で良いので、イメージを膨らませる事から始めるのが良いらしいです。実際マーケティングの分野でも、人の心を動かすためにプロモーションがされています。
「目的とはこうなったらいいな」という未来像
\かてきょ式/ わくわく思考せんりゃく。*2)
クリティカルシンキングは「引き算思考」
参考書籍を読んで非常に分かりやすかった表現が、クリティカルシンキングは引き算思考という点。つまり余計なものをそぎ落として、核心に迫るということです。
その逆が足し算思考です。足し算では色々な要素を積み上げて考えていくので、答えが出ないというデメリットがあります。引き算思考は「要は何なのか?」という視点で大事なことだけをつかみにいきます。
例えばよくドラマなどで、とても悩んでいる人物に対して「じゃあ、どうしたいの?」と問いかけるシーンが聞いたことはありませんか? これも引き算思考の例と言えるでしょう。
目的をもとに目標を立てる
目的が定まったら、次に目標を立てていきます。
この章では参考書籍として、「実践型クリティカルシンキング (21世紀スキル)」の目標設定の箇所を参考にしています。*3)
ここではあるIT系の開発チームにおける例として、
「目前の諸案件業務に追われている現状の中で、よりクリエイティブな仕事を増やしていく」という目的をベースに考えてみます。
曖昧な箇所を具体化する
まず、目的において曖昧な箇所・定義がきちんとされていない箇所を具体化しています。
今回の例で該当するのは「クリエイティブな仕事」という点だと思います。
そこで、「クリエイティブってどういうこと?」という問いをしていきます。
例えば以下のような形です。
・何かチーム発信のアプリを作成すること?
・部門会議での建設的な発言を増やしていくこと?
・日々の案件作業の中で、色々な工夫を入れていくこと?
こういう問いを繰り返しながら、本当に必要とされるものをイメージしながら具体化していきます。
時間・レベルの軸で目指すものを明確に
次に目指すものをイメージしやすく表現していきます。
例えば、アメリカのケネディ大統領が「1960年代末までに人類を月に立たせ、安全に帰還させよう」と演説したことで当時の国民が熱狂しましたが、この演説には目指すものが明確になっていると思います。
これが逆に「宇宙開発の国際競争力を上げ、それに沿ったイノベーションを推進する」という内容だと、明確にはなっていないですよね。これは「目的」になります。
これをさらに分析すると、明確な目標には「レベル」と「時間」の軸で目指すものが語られている点です。
では、どのようにすればよいのか?
そのためには目標の本質を見極める必要があります。
目標の本質を見極める
先ほどクリティカルシンキングは引き算思考ということを書きました。
引き算の目的は、不要なものをそぎ落として「本質を見極めること」と言われています。
では本質は何なのか?
ビジネス書のベストセラーとなった”エッセンシャル思考”では、本質とは「具体的かつ刺激的」なものと言っています。*4)
刺激的というのは、モチベーションが上がりやすいものです。
今回の例で言うと「クリエイティブな業務として、改善提案を提出して社内表彰を目指す」というようなものです。社内表彰という具体的な目標があり、社内でアピールができるという刺激的な内容になっています。
最後にSMARTでチェックする
この本で感心した点は、目標を立てた後にSMARTでチェックするという点です。
Smartとは目標に必要な5要素を定義しているもので、
「Specific:具体的、Measurable:計測可能、Achievable:達成可能な、Relevant:関連性、Time-bound:期限が明確」になります。
SMARTは目標設定によく使われますが、項目が多いのでチェックリストとして使うのが適しているでしょう。欠けているポイントを確認しながら、目標を良くしていくことができます。
Links
*1) [English Lab] TEDの人気講義「WHYから始めよ!」のサイモン・シネックを英語で見て学ぼう
https://www.rarejob.com/englishlab/column/20190525/
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