今回は最近、産業界でもよく言及されている『心理的安全性』についての記事を書きます
心理的安全性は、組織において個人が自由に発言・行動しやすくする為の概念で、欧米を中心に注目されています。
とはいえ、中には心理的安全性が取り入れにくい風土の組織も多いと思います。
今回は、心理的安全性の説明の上、会社組織にありがちな状況を整理してみます。
本投稿では、「課題」について書き、次回はその課題を踏まえて対応案を書いていきます。
心理的安全性について
まずは、心理的安全性の概念について記述しておきます。
これは職場において、その人の立場や状況に関わらず、
チームのメンバーが、自分の考えを自由に発言したり行動に移したりできる状態のことで、Googleが発表したことで有名になりした。
心理的安全性のメリット
心理的安全性が保証されていると、以下のようなメリットがあると言われています。(*1)
心理的安全性のメリット
・個人のストレスの軽減
・責任感や関心が芽生えやすい
・パフォーマンスの向上を期待できる
・情報交換が活発になる
・イノベーションが生まれやすい
・問題の早期発見、解決ができる
・離職率が下がる
このように心理的安全性にはメリットが多く、非常に有効な考え方と言えます。
心理的安全性が必要なシーン
では、具体的に心理的安全性が必要とされるのはどのようなシーンでしょうか。
下記サイト (*2)の内容をまとめると、心理的安全性は以下のようなシーンで効果を発揮するようになります。
心理的安全性が効果を発揮するシーン
・会議などの場で、会社やプロジェクトの改善案について思ったことを自由に発言できる
・進行している事業のリスクに気づいた時に、責任者に対してすぐに発言できる
・仕事上の大きなミスや問題点を、上司にすぐに報告できる
心理的安全性の高め方
また心理的安全性を取り入れるための、一般的な方法や考え方についてはは以下のようなものが挙げられています。
・発言の機会を平等に与える ・相手の発言をポジティブに受け入れる姿勢を作る ・積極的にメンバーの話を聞く ・評価方法を見直す ・発言側もある程度自信を持ってコミュニケーションを取る
しかしこれらは一般論になるので、中には風土的に問題を抱えていたり、日本企業独特の企業文化の性質もあって、心理的安全性を実践するのが難しい状況は多くあると思います。
組織における心理的安全性の課題
よく「組織のしがらみ」という言葉を聞きます。
これは例えば、誤りを訂正したくても「上が言っているから」という暗黙の了解で、進言したりアクションを起こすのが難しい状況でよく使われます。
様々なメディア情報を見ても、このような組織のジレンマに悩まされることは多そうです。
これは日本企業に多く見られる特徴かもしれません。*3)
このような組織的な問題がある中、心理的安全性をどう活かしたら良いか考えていきたいと思います。
今回はまず、以下の観点で課題分析をして、次回に解決案について記述したいと思います。
・組織文化によっては、心理的安全性を取り入れるのが難しい ・そのような組織において、個人レベルで心理的安全性を確保する上での課題
同調圧力があると、思うように発言しにくい
非合理的なことでも、組織に従わざるおえない状況はよくあると思います。
例えば以下のような場合です
慢性的な残業の改善がしにくい 長時間の残業が慢性的に続いてメンバーのパフォーマンスも落ちている。 しかし、「皆頑張って残業しているのだから」という空気感があり、なかなか改善策について議論しにくい。 口火を切るのが大変。 社内システムの改革が進めづらい IT化を進めて会社のシステムを効率化したいが、上層部は旧来の紙ベースやハンコ文化を良しとしている。 会社自体も長いものに巻かれる主義で、提案がしづらい雰囲気がある。
このように空気感的に物事を正しい方向に進めづらい、という事はよくあるかもしれません。
加えて、正しいことでも発言をすると「評価が下がるのでは?」「組織から煙たがれるのでは?」という心配から声をあげにくい状況もあるでしょう。
そういう雰囲気が全体に蔓延することで、変化に対応しにくい組織文化が作られかねないと思います。
能力や社歴による格差
年功序列の企業文化は、まだ多くの企業で残っているのではないでしょうか
能力や社歴が不十分とみなされていると、
発言が軽視されたり、時には発言することで人格攻撃を受けてしまう場合もあります
発言したい場合でも
「あの人が言うんだから間違いない」
「自分は実績が少ないから発言しても迷惑がかかる」
と考え、言いづらい状況も発生してしまいがちです
もちろん能力や経験値によって、発言の信頼性は違ってくると思います。
しかしそれが、個人の心理的安全を侵害するレベルになることは問題だと思います。
従順になりすぎて、そもそも「意見」が持てなくなってしまう
組織に入って暫く仕事をすると、上司の言うことに従うのが常識となり、
そもそも自分の意見を持てなくなってしまう事も多いかもしれません。
実際ネットを見ると、それにまつわる記事も多く見受けられます。
仕事を盲目的に処理することに慣れてしまい、そもそも「意見」が何かよく分からなくなる
ーいわゆる思考停止状態を経験する事になります
自由度の調整が必要
心理的安全性は重要概念ですが、行き過ぎには注意が必要になると思います。
それは自由奔放になってしまい、組織の統率が取れなくなる事が考えられるためです。*3)
心理的安全性は、あくまで発言のハードルを下げて組織を活性化するための考え方で、発言にはある程度のコミットが必要になってくると思います。
例えば先程の残業の例では、以下のようになるかと思います。
慢性的な残業の対応案の例
・まずは現実的な案として、繁忙期や曜日を決めて残業をすることを提言
・段階的に残業を減らせるよう、改善チームを作ることを提案し、自分も参加する形で協議していくのを打診する
最後に ー会社組織の問題と捉えてしまうと行き詰まりにー
このように、心理的安全性を確保するにも会社の体質的な問題が多いのではないでしょうか。
突き詰めていくと、結局のところ会社組織全体や経営層レベルでの改革が必要ではないか?
となってしまうと、行き詰ってしまうかもしれません。
そのため、個人やチームレベルでできるような対策が必要になると思います。
次回は、クラフティングなどの思考ツールを紹介し、対策を説明していきたいと思います。
参考リンク
*1 *2) 心理的安全性の効果と活用シーン
「心理的安全性」とは?意味やメリットをわかりやすく解説
https://talknote.com/magazine/psychological-safety/
心理的安全性とは Googleが確立した「良いチーム」の土台を作る方法https://research.lightworks.co.jp/psychological-safety
3*) 日本における心理的安全性
https://blog.tinect.jp/?p=71732
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