今回はワークライフバランスについて取り上げます。
以前から注目されていたワーク・ライフバランスですが、
単純に「仕事と私生活のバランスが良い」という以外に様々な意味があります。
今回は、最近の産業・組織心理学を踏まえた観点について紹介していきたいと思います。
- 現状の働き方について、整理したい
- ワーク・ライフバランスを向上させたい
- 現状を踏まえて、今後の働き方やキャリアを見直したい
自身のワーク・ライフバランスの状態を理解する
自身のワーク・ライフバランスについて、どう理解すれば良いか?
産業心理学においては、ワーク・ライフバランスの状態について、3つがあると言われています。*1)
公私関係の3状態:スピルオーバー型・補償型・分離型
- スピルオーバー型
仕事と私生活が相互に影響しあっている状態。
良い影響があれば、ポジティブ・スピルオーバー型で、悪い影響があれば、ネガティブ・スピルオーバー型と言われる。 - 補償型
仕事と私生活の一方で不満があれば、もう一方で補っている状態。
例えば、仕事で成果が上がらなくて不満な時は、家庭での役割を充実させるなど。 - 分離型
仕事と私生活が完全に独立している状態
今の状態が適切なかを振り返ってみる。
働き方やキャリア選択を見直す上で、現状のワーク・ライフバランスの分析が必要になってくると考えられます。
ON・OFFをはっきりさせる「分離型」は時代遅れ?
上記で触れた、「分離型」の状態は一見良さそうです。
オンとオフの切り替えができることは、よく社会人としての資質とも言われます。
しかし、昨今の在宅勤務が一般化してきている状況ではどうでしょうか?
厚生労働省による調査でも、テレワーク普及により、公私区別が難しくなったという問題が指摘されています。*2)
公私を区別する癖が、環境に変化によって労働者の負担になっているという見方ができると思います。
ワーク・ライフバランスが良い状態
公私で良い相互影響が出る状態を目指す
仕事と私生活のバランスが重要と言われますが、
最近の研究では、特に「ポジティブ・スピルオーバー型」が注目されています。
これは、公私ともに良い影響がし合うことによって、ワーク・ライフバランスの充実が成り立つと言う状態のことです。
ポジティブ・スピルオーバー型では、以下の状態が実現できると言われています。*1)
項目 | 詳細 | 影響の種類 |
能力の向上 | スキルや視野が広がる効果 | 相互に影響 |
心理面の安定 | 気分のよさ・心の余裕 | 相互に影響 |
金銭的資源 | 仕事の成果給など | 仕事⇨家庭に影響 |
能率 | 手際の良さ | 家庭⇨仕事に影響 |
ワーク・ライフバランスとは、突き詰めれば仕事と私生活の好循環が実現している状態とも言えます。
これを実現する因子としては、まとめると以下が挙げられています(*1)
- レベルの高い仕事(複雑性・スキル)
- 人格面(良心性・変化への受け入れ)
- 健全な環境(家族・職場・友人からの支援)
ポジティブ・スピルオーバーが起きていれば良いですが、「ネガティブ・スピルオーバー」や「補償」の状態では、不適切と言えるかもしれません。
現状理解によって、今後のキャリア選択の指針や、行動へのモチベーションに変えることが可能になってきます。
公私の切り替えの「基準」を考えてみる
とはいえ、ON・OFFであるべき部分もあると思います。
公私において「何を切り替えるか」と言う視点が必要になってくるのかもしれません。
例えばプライベートでは、人とのコミュニケーションが活発でも、職場では思うようにいかない場合。
必要以上に切り替えを意識しているか、職場環境に問題がある場合などのケースが考えられると思います。
参考
*1)[リクルートマネジメントソリューションズ] ワーク・ライフのポジティブな関係性
https://www.recruit-ms.co.jp/issue/feature/0000000700/?theme=workplace
*2)[厚生労働省] 新型コロナウイルス感染拡大とテレワーク
https://www.mhlw.go.jp/content/11911500/000677508.pdf
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