以前の記事では、スキルアップの段階について説明しました。
今回はスキルアップの3段階目 “理解”のプロセスについて書いていきます。
今回の内容は、”疑う”ことの重要性と、それによって理解を深めていく具体的な方法について
解説していきます
疑うことで学習効果を高める
効果的な学習とはどのようなものでしょうか?
もちろん色々な考え方があるいと思いますが、
今回は”客観的な態度で勉強してみる“ということが挙げられると思います。
客観性とメタ認知
客観的というのは、何かに取り組んでいる自分を意識的に引いて視ることで、
状況を適切に把握し、行動を制御していくことです。
このような態度はメタ認知と言われ、近年心理学でも注目されているワードです。
よく他人から指摘されてはじめて、自覚できるということがありますが、
メタ認知とはそれを自分の脳内で行う事です。
メタ認知の一例が、”疑う”こと
そして、メタ認知の一つとして”疑う”という行為が挙げられると思います。
例えば「別の角度で見てみる」「実際に実践する上での問題は何か?」といった具合で、視点をあげるような学習方法が挙げられます。
疑う事は高次な認知活動のため、学習効果が高い
メタ認知は人間において高次な認知活動と言われ、学習効果が高いと言われています。
別機会でも詳細に取り上げようと思いますが、高次な認知活動ほど記憶への定着率は高いと言われているためです。
疑う①:類似の情報の”違い”に注目する
学習の要素を比較するというのがまず一般的でしょう。
要素同士で「何が違うのか?」を疑ってみて、それらのメリット・デメリットも整理すると、より実践的な知識になると思います。
要素同士の比較の例
以下に、ストレスの対処法となるコーピングについて、観点別に対処法の違いを列挙して、違いを比較検討して学習する例を書きました。
例)ストレスのコーピング ストレスを感じた際の対処法として以下の様なものがある ・学習要素1 問題焦点型コーピング ・学習要素2 情動焦点型コーピング
↓↓↓
<問題焦点型コーピングの整理> ・ストレスの原因となる「問題」に焦点を当て、どの様に解決するかを考えて対策すること。 ・スキル不足によって生じるストレスなら勉強して克服する、スキルアップするまでの時間は業務量の調整を上司と話し合うなど。 ・メリットはストレスの大元の原因を取り除ける。それによる成功例を自分の経験値や、他人からの評価にも繋げられる。 ・デメリットは、心を癒すことには繋がりにくい。また対策を練っても失敗する可能性もある
<情動焦点型コーピングの整理> ・ストレスを受けた自分の「感情」に焦点を当て、誰かに話を聞いてもらう、その出来事の捉え方についてポジティブな側面を考えてみる、など。 ・問題焦点型で論理的に考えるばかりだと疲れてしまうので、心を癒すことができるのがメリット。 ・デメリットは問題の直接解決にはつながりにくい。
比較した要素を整理する例
上記で整理したことを、実際に整理していきます。
・状況によってコーピングを使い分けることができる。 →例えば問題を処理したいが、そういう精神状態じゃない場合には、まずは情動焦点型を使う。 ・あるいは情動・問題焦点型コーピングを組み合わせ、補完しあって実践することも必要 ・組みわせて実践する際には、自分なりにどれぐらいに比率で組み合わせるかをコントロールしてみる、など。
補足. 類似の情報をまとめて整理することで、記憶の定着もしやすい
類似の情報をまとめて記憶してしまうことで、記憶の定着もしやすくなると言われています。
これは人間の脳では、似た情報は脳内回路の近い場所に配置されるからです。
そして類似の情報が互いに刺激し合うことで、相乗的に記憶の定着率を高めることができると言われています
疑う②:実行する前提で考えてみる
学んだことを実際に行動に移す前提で、疑ってみると良い効果が得られるかもしれません。
学んだ知識に対して、
・「実践する上での障害は何か?」
・「実行するリスクが大きすぎないか?」
・「これは理想論すぎるのでもうちょっと現実に落としてから考える必要はないか?」
といった具合に疑ってみることで、疑問とそれに対する解決法を併せて考えてみることです。
一般的にこれは「知恵」と言われるかもしれません。
知恵とは日常生活や社会生活における実践的な知識ですが、
この様にインプットした知識へ「疑い」と「解決法」を加味することで「知恵」になるのだと思います
以下に例を書きました。
知識の例:成功するためには行動することが大事
世に出回っているビジネス書でもたくさん言われています。
例えば新しい通信教育を始めてみる、勉強会のサークルに通ってみるなが挙げられますね。
知識に対して、疑ってみる
以下に実際に疑ってみる例を書いてみます。
【知識に対する"疑い"の例】 「とはいえ行動が中々できず、後回しになる事ってよくあるよね?」 ↓ では、なぜ行動できないのか? ・「行動するメリットを明確になっていない(洗い出しきれていない)」 ・「自分のプライドが邪魔になって失敗を恐れてしまう」 などがあげられる(参考:https://smartlog.jp/192823#S52604183)
疑い”を元に、知恵にしてみる
疑ったことに対する、解決策を考えて知恵にしてみる例を書いてみます。
【"疑い"を元に解決策を考えて、知恵にする例】
・ポジティブな人と関わる機会をより多めにつくることで、積極的な態度を身につける
・自分が前向きに考えられる居場所や雰囲気に居る時に、行動する決意を固める
(上記のサイトも参考に記載)
この様に
「知識」をインプットに疑い、実践するまでのことを考えてみることで、色々なヒントが得られる可能性があると思います
疑う③:反論を挙げる
学んだ事が全て正しいとは限らない、というのはよくあると思います。
そこで、学んだ情報の正しさを確かめるために、学んだことに対する反論を挙げる(調べる・考える)のも効果的な学習と言えるでしょう。
さっそく例を挙げましょう。
知識の例:「幼児への英語教育は行うべき」
これは良く議論されますが、一般的なメリットには以下があると思います。
幼児英語教育のメリット
・吸収が早い幼児のうちに教えることで、楽に英語を身につける
・日本語に加えて英語も学ぶ事で、多様な価値観や表現力を身につけられる
客観的に反論を考える
幼児期の英語教育については、以下の「反論」が考えられます。
幼児英語教育への反論 ・日本語がまだおぼつかないのに、無理に英語を勉強させると日本語が疎かになる ・子供の自由意思を尊重すべき
このように「周りがどう思うか」という視点で見てみると、客観的な反論も考えやすいと思います
「反論」に対する「解決案」を挙げる
そしてこの「反論」に対する「解決案」を具体的に考えていきましょう。
「解決案」の例 ・日本語がおそろかになる問題 →日本語と英語の違いに対して、より敏感に感じられるような教え方を行う ・子供の自由を尊重すべき問題 → とはいえ今後国際社会は進み、英語を話せることは子供の可能性を広げることにつながる。 → なので例えば子供が好きなことに乗じて英語を少し取り入れてみてはどうか? <参考>幼児英語教育の6つのメリットと知っておきたいデメリット(2023年版) | CGKインターナショナルスクール・横浜賛否両論の幼児英語教育。プリスクール(英語保育園)の現場経験とデータを用いてグローバル社会における幼児英語教育のメリットとデメリットを考えます。
疑う④:自分の価値観を軸に考えてみる
さてまだ対策は続きます。
先ほどは「周りがどう思うか」という視点だったのに対し、
今度は自分の内面 ーつまり、自分の価値観を軸に考えてみるー という方法です。
さっそく例を挙げましょう。
知識の例:「利他的な行動をすると、自分も幸福感を感じられる」
これは実際の心理学分野において支持されている考えです↓
https://www.nissay.co.jp/enjoy/keizai/140.html
知識に対して、自分の価値観で疑う
ではこれを先入観にとらわれず、自分の価値観で疑ってみてましょう。
例えば、
「他人のためと言っても、何かそれは偽善者のようで、本当に幸せだと感じられるのか疑問」
と思ったとします。
疑った上で、腑に落ちるまで考えてみる
疑って終わりではなく、それを元に腑に落ちるまで考えてみます。
いわゆる、捻りを加えるのです。
例を示します。
【捻りを加えて思考する例】
・他人のためというのは本当に偽善者なのだろうか?
・偽善者だと思ったのは、「相手に良く思われたくて行動しようとするから」なのではないか?
↓↓↓↓
さらに、考えを深めていきます
↓↓↓↓
・「けれど人間なんだから、よく思われたいっていうのは自然なことじゃないか?」
・それに良く思われたいだけじゃなく、純粋に相手を思いやっての行動なのだから、
その素直な気持ちを尊重して良いのじゃないか?
・見返りを求めるから、そうでない時に怒りを覚えてしまうので、見返りを期待しなければ良いのではないか?
といった具合に考えて腑に落ちれば、それが「自分の価値観に根付いた知識」になるかもしれませんね。
最後に
今回は「疑う」をテーマに考えてみました。
疑うことで、思考が整理され、自分の考えもクリアできる効果があると思います。
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