前回の記事では全般として、スキル習得のプロセスを説明しました。
今回は、その続編ではじめに行う「スキルの把握」について詳細を書きます。
何から手を付けたら良いか?
これから何かを学ぼうという際に「何から手を付けて良いか分からない」という状態はよくあると思います。
何からすれば良いかわかれば、手探り状態から脱出することができ、安心感を持ってスキルアップへ取り組めるようになります。
前回の記事でも説明した、スキルアップにおいてはまず「スキルの把握」から始まるという話をしましたが、ここでは以下の点を抑えて、スキルの把握をしていきます。
・全体を網羅的にスキルを把握
・正しい努力の方向性を意識
スキルマップを作成
一般的にスキルというのは体系的・階層的に整理されます。
前回の記事で紹介した、スキルマップもその一種です。
下記は、会社などで会計を行うための簿記3級のスキルを整理したものです。
上位スキルと下位スキルの関係性を網羅的に整理する事で、スキルの全体像を明らかにする事ができます。
スキルの把握段階ではこれを作るのが目的になります。
では、このスキルマップを作成するためにどのような方法があるか、以下でいくつか例を紹介したいと思います。
スキルマップの作成方法
スキルを網羅的に把握するための、筆者なりの方法を紹介したいと思います
スキルのレベル別に情報を収集する
スキルを網羅的かつ、習得のイメージが分かるように把握する方法として、レベル別での情報収集があります。
様々な分野において、初級-中級といった具合で該当スキルに関する情報は提供されています。
そのため以下のようなレベルを表す言葉で、必要な情報へアクセスしてスキルを把握することができます。
・入門 – 初級 – 中級 – 上級
・基本 – 応用 – 発展
・基礎 – 実践
これから何かを学び始める状態では、何が簡単で何が難しいのかのレベル判断は困難です。
そのため、こういった情報で始めやすい箇所を把握すると便利かもしれません。
公的なガイドラインや資格本など、既存のスキル体系を利用
一般的に認知されているガイドラインや資格本を見れば、体系的な把握は可能になります。
これにより最初からスキルマップを作られていなくても、既存のものを利用することで効率的に進められます。
先程の簿記の例もそうです。
また資格本に関しては、この段階では中身まで読まなくても見出しを見るだけでも体系的に掴めると思います。
以下に例を記載します。
例:ITSS(ITエンジニアのスキル体系)
これは独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)で定義されている、ITエンジニアのキャリアパスとスキルの体系を示したもので、これを元に国家資格や企業の教育指針に使われていたりします↓
ITSS
例2:ビジネススキル
こちらは、Life & Mind 『仕事・人生・自分』を変える学びのメディアで紹介されているビジネスに関するスキルマップです↓
基本の”カタ”に注目する
別視点として”カタ”に注目するという方法もあります。
カタに注目することで、座学では把握ができない、動作や手順を伴うスキルについて収集する事ができます。
“カタ”といえば空手がありますが、これは主に「突き」・「蹴り」・「受け」・「打ち」などがあり、これらを習得することで、試合などで応用できるようになります。
応用の基礎となるものが”カタ”ですが、文章やネットで取得した情報のみでは、実践を伴う情報は掴みにくいです。
そのため、上位者の行動を観察したり実際に体験することで、そこから”洞察”してスキル要素を読み取ることが重要になります。洞察の詳細についてはまた別の機会で言及したいと思います。
観察や体験を通して得られるスキルは、主に人間の手続き型記憶に保持されます。
これは自分の身体を通して身に付く記憶のため、スキル習得には欠かせません。
座学のみでは手続き型記憶に基づくスキルは習得できないため、観察や体験が重要になります。
しかしながら、闇雲に経験を重ねるのではなく、実際に手を動かしながら、王道的なパターンの”カタ”を学ぶようになります。
以下で例を示したいと思います。
例1:数学の公式 数学の公式を使った証明として、基礎問題(アレンジのないもの)を"型"として身につける。
例2:車の運転 右折や左折のためには、後方確認→ウィンカー→幅寄せ→周囲確認→ハンドル操作と進めていくので、その"型"を身につけける。それにより右折や左折、大きめのカーブでもそれを応用できるようにする
例3:プレゼン 先輩のプレゼンを見たところ、PREP法を基本に話していた。 PREP法はまず結論を言い、その後に根拠→具体例と進める話術で、自分もその型を身につける事を意識した
最後に
スキル把握のための方法をいくつか紹介しました。
スキルの網羅的な把握には様々な方法を組み合わせる事で、より網羅性をあげることが重要だと思います。
人間は体験・観察・言語により学習をしますので、それらの要素をバランスよくカバーすることで、スキル要素が網羅的に把握できていくのではないでしょうか。
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